■ はじめに|代表・掛川 将より
工事企画グループは、これまでCM(コンストラクションマネジメント)と施工の両輪で多くの建築プロジェクトに携わってきました。
10年目を迎えた今、現場の動きやお客様との関わり、社内の変化を見ながら、この先どんな姿勢で建築に向き合うべきかを考える時間が増えています。
工事企画は、CMとして何を大切にするのか。
工事技献は、施工体制をどう整えていくのか。
そして“現場監督”という仕事が、社会基盤を支える高度専門職としての威信を確立し、真の誇りを伴う職業へ昇華するために必要な要素とは何か。
普段は仕事の中で自然と判断していることばかりですが、あらためて言葉にして共有することで、関わる皆様にも、社内のメンバーにも、グループとしての方向性がより伝わりやすくなるはずだと感じています。
これからこのブログで、建築に向き合う姿勢や私が現場で感じていることを、少しずつ形にして発信していくつもりです。
あまり肩肘張らず、普段の会話の延長のような気持ちで書いていきますので、気軽に読んでいただければと思います。
工事企画グループとして、これからどこを見て進むのか。その一端を、このブログを通してお伝えできれば幸いです。
■ 1. 工事企画として目指す姿
── 設計・施工・施主様の間に立ち、対等に物事を見られる専門家集団へ
工事企画として今後さらに確立していきたいのは、工事費の専門家としての立ち位置です。
建築プロジェクトでは、設計は設計の視点で、施工は施工の現場感覚で、施主様はご自身の願いや不安を抱えながら判断していきます。こうした複数の視点が交差するからこそ、時には認識のズレが生まれ、プロジェクトが本来の目的から外れてしまうことも少なくありません。
その中で工事企画が果たすべき役割は、単に“間に入って調整する”ことではありません。
設計・施工・事業収支・営業的視点のすべてを理解し、どの立場にも偏らず、対等に物事を見て判断していくことだと考えています。
現状、この複眼的な視点は職人技に近い部分もあり、専門性が高くどうしても属人的になりがちです。
だからこそ工事企画としては、設計も工事も数字も、偏りなく理解し、“全体を見て判断できる工事費の専門家(CMr)”を育てていくことを大切なテーマとしています。
建築プロジェクトでは、誰もがそれぞれの立場で最善を尽くそうとしています。
だからこそ、どの視点も尊重しながらフラットに物事を見られ、なおかつ的確に調整できる存在が間に入ることで、プロジェクト全体がぶれずに前に進みます。そのための役割を担える組織になることが、工事企画として目指す姿です。
■ 2. 工事技献(施工)としての再出発
── 「30億規模を目指す」のは、誠実な施工を続けるための“守りの戦略”
工事技献としては、ここ数年で会社の進む方向をあらためて整理してきました。
戸田・川口・蕨エリアに根ざし、地域を支える総合建設企業へと成長していきたい。単なる施工会社ではなく、CMで培った知見を活かして、地域に新しい価値を提供できる存在を目指しています。
その体制を強く安定したものにするためのひとつの指標が、「30億規模のゼネコンを目指す」という目標です。これは、数字そのものを追いたいわけではありません。
規模が大きくなることで、地域に還元できる仕事の幅が広がり、若手からベテランまで、働く人の待遇やキャリアをより良くしていけます。また、中小の施工会社では見えにくくなりがちな財務や体制の健全性を高めていくことも、施主様にとって大きな安心につながると考えています。
こうした財務面、技術面ともに“正しくやる施工会社であること”は、地域にとっても、現場を支える監督や職人さんにとっても、長い目で見たときに必ずプラスになります。
工事技献としては、誠実な施工を続けるための基盤づくりを目標に掲げ、これからの成長戦略の中心に据えています。
■ 3. 現場監督という専門職の価値を正しく伝えたい
── 社会的イメージを変える取り組み
現場監督という仕事には、いまも根強い誤解があるのではないでしょうか。
「きつい仕事」「汚れる仕事」「裏方の仕事」——そんなイメージが先行しがちです。
しかし実際には、工程調整、原価管理、図面理解、法令や施工体制基準への対応、近隣調整、職人さんとの協働など、非常に幅広い専門性が求められる重要な仕事です。
日本のインフラを支える職業であり、本来は胸を張って語られるべき専門職だと感じています。
工事企画グループでは、現場監督という職を“専門性の高い総合職”として再定義し、ユニフォームの刷新や働き方の見直し、業務のマルチ化など、ブランドイメージの改善にも取り組んでいます。
また、施工体制基準や国のルールに沿った運用を丁寧に行うことも、現場監督の価値を支える土台になると考えています。
中小の施工会社では当たり前の基準が守られていないケースも多いため、大手並みの基準に沿って健全な運用を徹底していく姿勢を示していくことが、安心につながり、結果として働く人を守ることにもなります。
他社で疲弊してきた監督の声を聞くことがありますが、工事技献ではそうした働き方を変えたいと思っています。
「ここに来れば、もっと良い働き方ができる」
そう感じてもらえる施工会社を目指し、現場監督という専門職の価値を正しく伝えていく取り組みを続けていきます。
■ 5. 工事企画グループとして目指す姿
── CMと施工がそろうからこそできること
工事企画と工事技献の2社があるからこそ、企画から現場までを一貫して支えることができると考えています。
CMとして透明性を担保し、施工会社として確かな品質をつくる。
この両輪が揃うことで、地域の建設レベルを一歩引き上げられるはずです。
社員が誇りを持って働ける会社にしたい。
施主様から「任せてよかった」と思っていただきたい。
協力会社にも「一緒に仕事をしたい」と言ってもらいたい。
そのために、制度づくり・人材育成・働き方改革・企画力の強化を、これからも続けていきます。
■ まとめ|CMとして、誠実に、正しく向き合う
これまでの10年、透明性を高める取り組みを着実に進めてきたことで、プロジェクト全体の精度が上がりました。
そしてこれからも私は、CMとしての中立性と誠実さを核に、建築に関わるすべての人が “正しく向き合える環境” を作りたいと考えています。
良い建築は、関わる全員が対等に意見を交わせるときに生まれます。
その対等性をつくることこそが、私たち工事企画の使命です。
次の10年へ。
誠実な建築で、地域の未来を支えていきたい——その想いを胸に、歩み続けていきます。(当記事執筆者:掛川 将)