■ コンストラクションマネージャーとは
「コンストラクションマネージャー(CMr)」は、発注者(施主様)の立場に立ち、プロジェクト全体を整理しながら、設計・施工・コスト・品質・工程を調整していく存在です。
一般的に、CMを導入することで、コスト削減・スケジュールの適正化・品質確保といった効果が期待できます。
関連ページ:コンストラクションマネジメントとは
そのうえで、私たち工事企画が特に重視しているのは「建てた後まで見据えて、施主様にとって納得できる計画になっているか」という点です。
建物は建てて終わりではありません。
施主様の年齢、家族構成、資産状況、相続や承継のタイミングによって、適切な計画は大きく変わります。
だからこそ工事企画では、こうした前提を丁寧に整理し、その方にとって無理がなく、将来にもつながる形へ計画を組み立てることを、CMrの大切な役割だと考えています。
この記事では、工事企画が大切にしている「人生背景から逆算」した企画と、それを形にした事例をご紹介します。
■ 工事企画のCMrが重視している3つの視点
私たちが重視しているのは、「出口」と「人生背景」から逆算して計画を整えることです。
1, 施主様の人生背景に合っているか
建築プロジェクトに一つの正解があるわけではありません。
年齢、家族構成、相続の見込み、意思決定のスピード感といった背景によって、取るべき計画は変わります。
たとえば、規模の大きい投資が数字上は成立していたとしても、完済までの期間や、次世代への引き継ぎやすさまで含めて考えたときに、本当に適切とは限りません。
私たちは、目先の収益性だけでなく、その方の人生設計や家族の事情に照らして、無理のない形に整えることを大切にしています。
2, 出口まで見据えた企画になっているか
建築は完成がゴールではなく、そこから始まる事業です。
そのため私たちは、計画段階から「将来売却できるか」「承継しやすいか」「市場の中で価値が保てるか」という視点を重視しています。
建物を建てること自体が目的になると、完成後に選択肢の少ない資産になってしまうことがあります。そのため私たちは、地域の市場性や買い手の属性も踏まえながら、出口まで見据えて成立するかどうかを確認し、計画を組み立てていきます。
関連ページ:土地活用の事業計画収支の見方
3, コストを削るのではなく、価値を生む部分に配分できているか
私たちが考えるコストマネジメントは、単純に「金額を下げること」ではありません。大切なのは、不要なコストを避けながら、本当に価値を生む部分に適切にお金を使うことです。
予算が決まった後で無理に削るのではなく、最初から事業として成立する前提で計画を組み立てることが重要です。そのために工事企画では、案件ごとに最適な専門業者を直接選定するコストオン方式を採用し、不透明な中間マージンを抑えながら、必要な部分に資金を配分できる体制を整えています。
関連ページ:コストオン方式とは?メリット・デメリットとCMが果たす役割
■ 事例1:戸田テラス
── 着工までの期間を縮め、次世代の選択肢を守った計画
戸田テラスの計画では、当初、大手メーカーの提案をもとに話が進んでいました。しかし内容を整理していくと、施主様の人生背景と計画の構造が十分に噛み合っていない点が見えてきました。
たとえば、年齢とローンの関係です。当初案のまま進めると、完済時の年齢が100歳を超える想定となっており、長期的に見て無理のない計画とは言いづらい状況でした。
また、施主様には「子供に引き継ぐとき、売る・貸す・建て替えるを自由に選べる状態にしておきたい」という明確な目的がありました。
そこで私たちは、単に建物規模を大きくするのではなく、収益事業として成立し、将来の選択肢も残せる形へ計画を再構成しました。当初は5億円規模、利回り5%台だった計画を、事業規模そのものから見直し、結果として利回りは8.9%まで改善しました。
さらに、この計画では、ご家族の事情から「できるだけ早く着工・竣工させたい」という条件もありました。
通常の共同住宅では、開発条例や道路申請の関係で、着工まで約1年半かかる見込みでした。そこで、あえて木造の長屋という形式を選択することで申請期間を大幅に短縮し、早期着工を実現しました。
このプロジェクトで大切だったのは、単に収益性を高めることではありません。
将来の承継まで含めて、施主様が納得して進められる土地活用へと整えたことに価値があったと考えています。
この共同住宅建築プロジェクトの支援内容の詳細はこちら
■ 事例2:墨田区共同住宅
── 思い出を守りながら、負債を残しにくい計画へ
墨田区の施主様の事例は、建築会社が提案すべきものは「建物の最大化」ではなく、人生にとっての最適化であることを象徴するプロジェクトでした。
敷地内には、お母様との思い出が残る家のほか、倉庫と、稼働中の部分と未稼働の部分が混在する工場がありました。
当初、他社から提示されていたのは、これらをすべて解体し、敷地全体に大きな建物を建てる、5億円規模の計画でした。借入額が大きいため返済期間も40年と長期になり、当時70歳の施主様にとって現実的とは言えないものでした。また、連帯保証人となる予定だった妹様も、巨額の借入を前提とした計画に大きな不安を感じておられました。
そこで私たちは、まず建物ではなく、施主様の想いとご家族の状況から計画を見直しました。
施主様が大切にされていたのは、「お母様との思い出の家を残したい」「妹様に引き継ぐ際に大きな負債を残したくない」ということでした。その前提に立ち、敷地全体を一度に開発するのではなく、工場の未稼働部分だけを対象にした部分開発へと方針を切り替えました。
これにより、思い出の家を残しながら、事業規模を他社案の10分の1以下、約4,000万円程度にまで抑えることができました。
投資額を絞ったことで、表面利回りは11〜12%程度となり、7〜8年で完済できる見通しも立ちました。
また、ローン返済中も月30万円程度、完済後は月50〜60万円程度の家賃収入が見込める計画となり、老後の収支安定にもつながる共同住宅として整えることができました。
そして何より大きかったのは、将来、妹様へ引き継ぐ際に、「借金を背負った資産」ではなく、「売却や建て替えも選びやすい状態の資産」として残せる形にできたことです。
「多額の負債への不安」を「将来への安心」へと塗り替え、この先も妹様と笑って過ごせる未来を守れたこと。それこそが、このプロジェクトで私たちが形にした一番の成果でした。
設計者は建物の計画を、金融機関は担保価値や返済可能性を重視します。
その中で、工事企画のCMrは、ご家族が数年後、数十年後にどう引き継ぎ、その後どのように暮らしていけるかまで考えます。
この墨田区の事例は、その姿勢が表れたプロジェクトのひとつです。
この共同住宅建築プロジェクトの支援内容の詳細はこちら
■ まとめ:「人生背景から計画を整える」
工事企画が考えるコンストラクションマネージャーの役割は、工事を管理することにとどまりません。
計画段階で、
- 施主様のご意向に沿っているか。
- 将来の売却や承継まで見据えられているか。
- 事業として無理のない規模と資金計画になっているか。
そうした前提を整理し、納得して進められる形へ組み立て直すことが、私たちのCMrの使命です。
不透明な先行きの不安を、確かな安心へと変える。コンストラクションマネジメントという専門技術を通して、この先も施主様とご家族様が安心して笑顔で過ごせる未来を守り抜くこと。それこそが、私たちが建築のプロとして介在する最大の意義だと考えています。
工事企画では、人生背景と出口を踏まえた計画づくりを大切にしながら、必要に応じて前提から整理し直すお手伝いをしています。
すでに提案書や収支計画をお持ちの方はもちろん、これから検討を始める段階の方も、「何を前提に考えるべきか」から一緒に整理できます。気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
(当記事執筆者:掛川 将)
当社代表・掛川がラジオ出演いたしました(YouTube公開中)
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